日本最高の強運男‘山越義雄’物語 Vol.2
戦時中のある時、米国のグラマン戦闘機が、一斉攻撃を仕掛け、銃弾を雨嵐のごとく打ち込んできた。 そして、逃げ惑う民間人や軍人で、辺りがごった返しをしていた時、なぜか山越さんだけがそのとき防空壕に逃げのびることができず、じゅうたん爆撃をしている弾をよけながら走り回っていた。 そして、近くに爆弾が落ち、その衝撃で生コンクリートを入れているミキサーのタンクがコンクリートをまき散らしながら山越さんのところに倒れかかってきたという。 ‘ウワー’っと叫びながら頭を抑えて、ふと前を見ると、目の前にその生コンのミキサーの入り口がポッカリ開いている光景が映っていた。 ワラをもつかむ思いで、そのミキサーの中に逃げ込む山越さん。 その間も、戦闘機の激しい攻撃が続く中、結局、防空壕に逃げた人々のほとんどは亡くなってしまっていたという。 ミキサーが銃弾の盾になって助かった山越さんであったが、爆撃から数時間たって、今度は体がほとんど動かず、水もなく、おなかもすいていたときに、近くの飛行場から2人の旗上げの男が生存者を探しにやって来た。 しかし、生コンクリートにうずもっている山越さんは、声も上げる気力もなく、何とか自分が生きており、このミキサーの中にいることを知らしめたいのであるが思うようにならない。 その時、ふと自分の手に、軍の‘非常持ち出し書類’なるものを持っていることに気づいた。 「この書類を放したら打ち首になるかもしれんが、今はどうにもならん!」 との思いで、そのマル秘の印がついた機密書類をカバンから出し、ミキサーの入り口めがけて放り出したのであった。 すると、運のいいことに、たまたま、そのとき‘風’が吹いており、その機密書類が風に乗って、遠くの方まで散らばりながら飛んでいったのである。 そして、その機密書類が飛んでくるのを見つけた2人の男は、「あれっ、どこからこの機密書類が飛んでくるのか?」と不思議な思いで、書類の痕を辿って行くと、何やらミキサーの中から1枚1枚コピー機から印字された用紙が出てくるごとく、機密書類が出てきているではないか! 男たちは、「誰かおるんか?」と叫んでも、中からは声は聞こえてこず、書類だけが出てくる有様。 そして、ようやく、2人の男によって山越さんは救助されたのであった! もし、先に防空壕に逃げ込んでいたら、山越さんの命はなく、ミキサーの生コンクリートもだいぶ減ってくれていたから入ることもできたし、爆弾からの盾となってくれたこと。 また、風が吹いていなければ、夜遅くまでは捜索されず、これも命はなかったといわれている。 また、このとき山越さんは奇妙な発見をしている。 それは、爆撃機の攻撃の際に気付いたことらしいのだが、映画でもなんでも爆撃機に攻撃されている時、人が逃げている方向は爆撃機と同じ進行方向になっていることにお気付きだろうか? そうです!後ろから自分を狙ってくる爆撃機に対して、同じ進行方向に進んでいたのでは照射面積が広く、弾に当たる確率が大きいのだ! それに気づいた山越さんは、なんと後ろの攻撃機に向かって普通とは逆に逃げたのだった! これを後に上官に伝えた山越さんは、たいそうほめられたそうである。 このような機転が利く頭の良さも山越義雄は兼ね備えているのである。 |
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